現在の業務内容は、毎朝8時から清掃スタッフの全体ミーティング、10時から施設責任者ミーティングに出席。それ以降は、清掃責任者として、スタッフへの指導や困難な汚れの対応、その対処方法についてスタッフに指導する。
対処指導の内容はこうだ。永松氏は、過去の服地問屋で培った生地を見分ける経験から、常に素材を意識した指導を行っている。例えば、塗装された化粧板やガラス面に付着し硬化してしまった汚れを落とす場合には、通常、薬剤を使用して除去するが、下地に影響を及ぼす可能性があるため、永松氏はスクレーパー(3枚刃)を使用し、汚れ自体を削り落とす。スクレーパーは削る作業には優れているが、力の掛けかたを誤ると素材に傷が入ってしまうので注意を要する道具だ。
永松氏は、スクレーパーの刃を汚れ面に平行(水平)にあててまっすぐ降ろし、慎重に削り取る作業を実演し、丁寧にスタッフを指導する。
また、エスカレーターの側面など、ステンレス板に付着した油汚れの除去は一見簡単な作業であるが、手順を誤ると素材に傷をつけ、余計に汚れやすくなる。ステンレス面の筋目に沿って、少量の薬剤を含ませたクロスで油汚れを撫で下ろすように作業することで、素材を傷めないで汚れを落とす方法を実演し、スタッフに一つ一つ丁寧に解説を加えながら指導している。
このように、永松氏の技術指導は、必ず実演(手本を示す)行うことにより、スタッフが作業工程を確認しながら確実にインプットしやすい方法で行っている。