藤村さんの業務は、退院清掃や診察が終わったあとの外来清掃、健康管理センターの清掃のほか、定期清掃(ワックス掛け、カーペット洗浄、ガラス清掃、配管洗浄)の予定組みや立ち会いなど、多岐にわたる。医療の現場なので、ある程度の早さも求められるが、早いだけで雑になってはいけない。患者さまの中には咄嗟に避けたくても避けられない方もおられ、ケガ等は絶対にさせてはいけないからだ。一方手早くやらないと入院患者さまを受け入れられない。病院清掃は「早い、きれい、丁寧」のすべてを意識して取り組まなければいけない特殊な現場と言えるかもしれない。
その中でも一番神経を使うのが、病棟のワックス掛け清掃だ。最優先は入院されている方の診察や治療の妨げになってはいけないということ。そのためには看護部の方たちのご協力なくして清掃は行えないのだそうだ。「病院はチーム医療」と藤村さんは話す。ドクター、看護師、薬剤師、介護福祉士、クラーク、管理部、そして清掃もその中の一つであり、チームの一員である。各立場の方がそれぞれその意識を常に持ち、仕事をしているからこそ万全の状態で患者さまをお迎えできるのである。
また、スタッフの教育では苦労するそうだ。「個人情報や守秘義務、特に病院というデリケートな職場なので、マナーをはじめ、おしゃべりには特に気を付けてほしい」と常に指導している。いらいらしたり、焦ったりすることは誰しもあるが、とにかく冷静になること。冷静にならないと思考が働かない。普段の業務では「素早い対応と確実さ」を心がけている藤村さんだが、急がなければいけないときこそ「冷静に、冷静に考えよう!」と心に言い聞かせ、取り組むようにしている。