山下氏が働く「セルリアンタワー」は、2001年に建設され、地上41階地下6階建の渋谷では最高層建物でオフィス・レストラン・ホテルが入る大型複合施設である。1日の来訪人数は約4,000人で国内外のエグゼクティブや旅行者など様々な方が利用する施設であり、清掃の品質や衛生面への意識が高い。館内は昼夜を問わず多くの人が出入りするため、常に綺麗な状態を維持するのは難易度が高く、高度な清掃技術とチームワークにより成り立っている。
この清掃チームの責任者である山下氏は、業務上大切にしている事が2つある。
1つめは「床や壁の材質や利用者の導線など、建物を細部まで把握すること」、2つめは「清掃スタッフの動きを把握すること」である。山下氏は「この2つを把握することで臨機応変に清掃することが可能になり、常に綺麗な状態を維持することができる」と語る。
さらにもう一つ、山下氏が注力している作業は吐しゃ物対応である。
館内で吐しゃ物が発生した場合、通常は清掃スタッフが迅速に処理を行っているが、正しい手順で処理しないと感染者を増やすリスクがある。そのため山下氏は、一人でも多くの従業員が正しい吐しゃ物対応ができるよう、「吐しゃ物対応研修」を開くなど啓蒙活動を行っている。
この活動が評判を呼び、現在は館内のホテルからも研修の依頼を受け、ホテル従業員に対しても「吐しゃ物対応研修」を行うようになった。お客様の安心安全を守るため、山下氏がパイプ役となり館内の連携を強めている。